2013年4月5日金曜日

起亜自のリコール、300万台超か:労組対策、「国内生産を減らせ」鄭会長の指示






朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/05 10:22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/05/2013040500708.html

現代・起亜自のリコール、300万台超か

 現代・起亜自動車が3日、ブレーキスイッチの欠陥とエアバックの構造上の欠陥を理由に米国で187万台のリコール(回収・無償修理)を決めたのに続き、4日にはカナダで36万台、韓国で16万台のリコールを発表した。

 問題の部品は欧州など他地域に輸出された車両にも使用されており、全体のリコール規模は300万台に迫る見通しだ。
 現代・起亜自のリコールとしては過去最大規模となる。

■トヨタとは異質の問題

 しかし、今回のリコールは過去最悪のケースとなったトヨタのアクセルペダルのリコールとは性格が異なるため、現代・起亜自の業績に与える影響は限定的との見方が有力だ。
 トヨタはアクセルペダルが運転席のマットに引っ掛かり、急加速による死亡事故が起きるなど、安全に致命的な問題だったため、世界で1400万台という空前の規模のリコールを行った。

 今回の現代・起亜自のリコールは、ブレーキは正常に動作するが、電気的信号がオンにならず、ブレーキランプが点灯しなかったり、クルーズコントロール装置が解除されなかったりするものだ。
 現代自は 
 「事故が起きたという報告は受けていない」
と説明した。
 しかし、現代・起亜自は昨年末に燃費測定ミスで、米国市場で102万台の燃費を下方修正しており、今回の大規模リコールは業績に一定の影響を与えることは避けられないとみられる。

■業績への影響は限定的

 4日までに北米、韓国でリコール対象となった239万台のうち、ブレーキスイッチの欠陥は85%を占める。
 運転者がブレーキを踏むと、ブレーキが踏まれた状態を認識する内部スイッチが動作しなければならないが、装置に電気的な不良が生じ、ブレーキからの信号が伝わらないという症状だ。
 ブレーキランプが点灯しなかった例のほか、ブレーキを踏んだ状態でのみ使用可能な「スマート始動ボタン」が動作しない現象も報告された。

 現代自関係者は
 「非常に単純な不良で、問題の部品を交換しさえすれば、問題は解決される」
と説明した。

 スイッチの単価は数百ウォン(数十円)で、リコール費用の大半は工賃が占めるとみられる。
 東部証券のアナリスト、イム・ウンヨン氏は
 「リコール費用は現代自が総額900億ウォン(約77億円)、起亜自が400億ウォン(約34億円)と推定される」
と指摘した。
 両社の純利益に占める割合はいずれも1%前後で、業績への影響は小さいとの分析だ。 
 トヨタはアクセルペダルのリコールでこれまでに31億ドル(約2990億円)を費やした。

■大量生産でリコール規模拡大

 今回のリコールでも分かるように、世界の自動車メーカーによるリコールは規模が拡大している。
 トヨタは1400万台規模のアクセルペダルのリコール以降も、昨年10月にパワーウインドーのスイッチの欠陥で743万台、同年11月にはパワーハンドルの欠陥で277万台のリコールを実施した。
 今年もエアバッグとワイパーの欠陥で129万台、シートベルトの欠陥で31万台のリコールを発表した。

 ホンダも昨年9月以降、世界で283万台のリコールを実施した。
 リコールの規模が100万台を超えるケースでは、全世界に影響が及ぶ。

 背景にはメーカーが生産コストを削減するため、部品メーカー1-2社から大規模に納品を受けている点に加え、複数の車種で部品を共用化していることが挙げられる。

 米の市場調査会社ケリー・ブルー・ブックのチーフアナリスト、アレック・グティエレス氏はロサンゼルス・タイムズの取材に対し
 「部品を共有化することで、費用は削減できるが、同時に一度問題が生じると、リコールの規模も大きくなるリスクを伴う」
と指摘した。

 現代自の鄭鎮行(チョン・ジンヘン)社長(戦略企画担当)は
 「事態の長期化を防ぐために最善を尽くす」
と述べた。
 4日のソウル株式市場では、現代自が5.05%安、起亜自が3.27%安と急落して引けた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/10 08:40
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/10/2013041000477.html

現代自、韓国で最大20万台減産へ

 現代自動車が今年から韓国国内での生産台数を減らすことを決めた。
 少なくとも10万台、最大で20万台の減産を前提として、海外工場で国内生産の減少分を補う計画を立てている。
 傘下の起亜自動車も近く同様の戦略を立てる見通しだ。
 1997年のアジア通貨危機や2008年の世界的な金融危機のように、新車需要の減少でやむを得ず減産したケースを除けば、韓国での生産台数を計画的に減らすのは、1967年の創業以来46年間で初となる。

 減産の原因は「昼間連続2交代制」の導入後、週末特別勤務の在り方と手当をめぐる労使対立で、週末の操業ができない状態が5週間続き、3月の輸出台数が前年同月比28%減少するなど影響が出ていることがまず挙げられる。
 ただ、根本的な原因は、高コスト・低効率から脱却できない国内での生産構造がこれ以上持ちこたえられないためとみられる。
 現代・起亜自周辺からは「来るべきものが来た」との声が聞かれる。

■「国内生産を減らせ」鄭会長の指示

 現代自幹部によると、鄭夢九は最近、海外法人幹部に対し
 「韓国国内での生産減少分を解決できるように、海外工場別に増産プランを立ててもらいたい」
と指示した。
 同幹部は
 「今年の国内生産台数を12-13万台減らすのが第1段階、
 最大20万台減らすのが第2段階のシナリオだ。
 第1段階では欧米、インド、ロシアなどの主要工場の稼働率を高めれば、減産分を補うことが可能とみている」
と語った。
 ただし、第2段階では工場間での生産シフトの大枠を組み直さなければならない見通しだ。
 例えば、蔚山工場で生産し、オーストラリアに輸出していた分を欧州での生産に切り替えるなどといった方策だ。

 鄭会長が指示を下したのは、昼間連続2交代制が実施されても、週末特別勤務の在り方で合意に至らず、週末の生産に2週連続で支障が出た時点だったという。
 結局3月第1週から最終週まで5週間連続で週末特別勤務ができず、現代自の生産台数は約3万4000台減少した。
 このため、先月の輸出台数は前年同月比で28%減少した。
 鄭会長は
 「昨年ブラジル工場が完成し、海外ネットワークが完成した。
 海外の生産施設を積極的に活用し、生産台数を達成するように」
と指示したもようだ。
 労組にはこれ以上押し切られまいという決意の表れだった。

 これを受け、米国アラバマ、ジョージア工場、チェコ、スロバキア、ロシアなどの各工場は3交代勤務で稼働率が100%を超えている状況だ。
 現在は生産ペースを上げるため、1時間当たり生産台数(UPH)向上策などの策定を進めている。

■高コスト・低効率に解決策なし

 昨年現代自は国内で190万台、海外で250万台を生産した。
 起亜自まで含めると、国内で349万台、海外で363万台となり、海外での生産台数が初めて国内を上回った。

 海外生産が増えているのは、国内と海外の工場で生産性の格差が広がり、経済的論理に従わざるを得なくなったためとみられている。
 現代自の生産性分析資料によると、国内工場の生産1台当たりの投入労働時間(HPV)は2011年時点で31.3時間だったのに対し、米アラバマ工場は14.6時間にすぎない。
 中国・北京工場も19.5時間で国内工場に比べはるかに生産性が高い。
 国内外で生産性の格差は広がる一方で、国内工場のHPVは07年の30,5時間から悪化を続けているのに対し、アラバマ工場は20.6時間から29%向上した。

 生産性の指標となる編成効率も、国内工場は10年現在で53.5%だったが、米国(91.6%)、中国(86.9%)、インド(88.4%)はいずれも国内を上回っている。
 この数値は、国内工場では53.5人が働けば十分な生産ラインに100人が投入されているのに対し、米国工場では91.6人が働けばよい生産ラインに100人が投入されていることを示している。
 国内工場の設備が相対的に老朽化している点を差し引いても大きな格差だ。

■製造業全体で生産シフトか

 鄭夢九会長による今回の決定は、国内生産台数を減らしてでも、労組には振り回されない方向へと戦略の転換を図った格好だ。
 しかし、減産に対する労組の反発、政治的波紋も少なくないとみられ、実際の減産までには難関が存在するとの見方もある。
 産業研究院主力産業チームのイ・ハング研究委員は
 「生産シフトを進めるには、ラインの再調整など困難な作業が必要となる」
と指摘した。

 問題は国内生産量の削減を検討しているのが現代自だけではない点だ。
 米国ゼネラルモーターズ(GM)は本社レベルでこのほど、
 韓国を欧米並みの「高コスト国家」
に分類した。
 韓国GMのホシャ社長は先月の記者懇談会で
 「昼間連続2交代制で生産時間が減少したにもかかわらず、生産効率が大幅に改善することはなく、生産コストが増大した」
と指摘した。
 このため、同社は韓国での生産分の一部を外部に生産委託する方策を検討している。




朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/12 08:40
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/12/2013041200467.html

韓国GM、昨年は300億円の営業赤字
ルノーサムスン、双竜自も赤字


 
 韓国自動車業界では、韓国GM、ルノーサムスン、双竜自動車の3社が2012年12月期に軒並み赤字を計上した。
 販売が回復した双竜自は赤字幅が縮小したが、韓国GMは売り上げが伸びたのもかかわらず赤字に転落した。
 販売が不振だったルノーサムスンは売り上げが大幅に減少したが、販売管理費の削減で赤字幅は前年に比べ縮小した。

 各社が発表した事業報告書によると、韓国GMの営業損益は3402億ウォン(約301億円)の赤字だった。
 前期は1136億ウォン(約100億円)の黒字だった。
 売上高は前期比5.8%増の15兆9496億ウォン(約1兆4100億円)だったが、
  労組との賃金関連訴訟で敗訴した場合に発生する数千億ウォン(数百億円)のコストを財務諸表に反映させた結果、赤字に転落した。
 韓国GM関係者は
 「大法院(最高裁に相当)の判決は確定していないが、訴訟の結果に関係なく、会計の原則上、訴訟額を反映しなければならない」
と説明した。

 ルノーサムスンの売上高は26.6%減の3兆6552億ウォン(約3200億円)だったが、営業損益の赤字は前期(2150億ウォン=約190億円)を下回る1721億ウォン(約150億円)だった。
 同社は研究費、広告販促費、品質保証費など販売管理費を1000億ウォン(約約88億円)以上削減した。
 また、多数の部品を国産化し、親会社のルノーや日産に支払っていた部品代金や技術使用料を前年の1兆1850億ウォン(約1050億円)から昨年には6022億ウォン(約533億円)に減らし、赤字幅の縮小につながった。

 双竜自は3.2%増の2兆8638億ウォン(約2530億円)で、営業損失の赤字は990億ウォン(約87億円)となり、前期(1060億ウォン=約93億円)に比べやや縮小した。
 同社の李裕一(イ・ユイル)代表は「2015年ごろの黒字転換を目標にしている」と述べた。

 一方、韓国の輸入車市場で首位のBMWコリアは昨年の売上高が17%増の1兆7278億ウォン(約1530億円)で、過去最高を更新した。
 営業損益は354億ウォン(約31億円)の黒字だったが、通貨先物取引での損失で100億7200万ウォン(約9億円)の純損失を計上した。




朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/21 09:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/21/2013042100171.html

自動車のリコールが減らない理由は?

 現代・起亜自動車が今月3日、米国で187万台、カナダで36万台など確認されただけでも240万台に上る過去最大規模のリコールを発表したことで、自動車業界には再び「リコールの嵐」が吹き荒れている。
 3年前に発生したトヨタの大規模リコールをほうふつさせているのだ。
 ゼネラルモーターズ(GM)を抜いて世界トップに躍り出たトヨタは、2010年に加速ペダルの欠陥で、1年間の販売台数を上回る1400万台もの記録的リコールを余儀なくされた。

 しかし、リコールの台数においては、フォードの右に出る者はいない。
 フォードは1981年、パーキングギアの問題で2100万台をリコールするなど、規模の面でははるかに多くのリコールを実施している。
 しかし、トヨタは問題が発生した当初「車には問題がない」との対応を貫いたことで、被害規模を拡大してしまった上、消費者の不満を買うことになった。
 相次ぐ訴訟の揚げ句、トヨタは賠償金などをはじめ計31億ドル(約3050億円)を支払うことで、リコールの代名詞と化してしまった。

 2011年に欧州で集計された産業群別リコールの回数を比べると、自動車関連のリコールは全体のわずか11%と、衣類(27%)、玩具(21%)よりも少なく、電子製品(10%)と同じような水準だった。
 にもかかわらず、自動車分野のリコールが大きく注目されるのは、ちょっとした欠陥が人命へと直結しかねないためだ。
 もちろんメーカー側も、不良率を減らすために必死の努力を傾けている。
 それなのに、自動車分野でリコールが続く理由は何なのか。

(1)部品数が多い

 まず、他の製品に比べて部品の数が多いことが挙げられる。
 自動車部品の種類は2万個を軽く超えている。ボンネットを開けた際に見えるエンジンは一つの塊にすぎないが、そのエンジンだけで部品が1200個もぎっしりと詰まっている。
 約1000種類の部品が搭載されているスマートフォンなどその他の製品とは比べものにならないくらいに多い。
 こうした部品の組み合わせが時速100キロ以上で走るため、故障の可能性はおのずと高まってしまうのだ。

 部品数が多いため、完成品全体の品質を細かく統制するのも容易でない。
 部品同士がかみ合う際の構造や強度によって、わずかな誤差が生じる可能性が内在しているのだ。
 自動車のパネルとパネルの間の隙間が数ミリ以下でなければならないといった規定があるだけで、正確な数値が示されていないのは、こうした理由からだ。

 今回の現代自のリコールも、そもそもは単純なブレーキスイッチの不良から拡大していった。
 ブレーキは機械的には踏み込めるものの、踏まれたことを認識して車内の各種の電子装置にその信号を伝えるスイッチが故障したことで、ブレーキランプが点灯しないなど、計20種類以上の問題が発生した。
 交通安全公団のイ・グァンボム博士は
 「簡単なスイッチ一つで20種類の問題が発生してしまうため、2万個の部品からなる自動車全体から見た場合は、数十から数百万種類のリコールが発生する恐れがある」
と警告する。

 そのため、BMWやベンツのような世界有数の自動車メーカーも、リコールからは逃れることができない。
 オイル漏れによりエンジンが止まってしまう単純な問題で、今もリコールに苦しんでいるのだ。

(2)短縮化される自動車開発の周期

 専門家たちは「部品の数は増えているにもかかわらず、自動車の開発周期が逆に短くなっているということも原因」と口をそろえる。
 それだけ、欠陥が生じる可能性も必然的に高まっているというわけだ。
 プラットホーム(自動車の基本を成す骨組み)の統合作業が開発期間を短縮するのに寄与したことは事実だが、以前は実物を持ち込んで行っていたペダルテストを3次元のデジタル試験に替えるなど、効率性を追求したために、問題の発生する可能性が大幅に高まった、との説明だ。
 通常5年かかっていた新車開発周期が、最近では2年半以内にまで短縮されている。
 さらに現代・起亜自に至っては、1年8カ月未満にまで短縮されている。

(3)電子部品の欠陥は増加

 また、自動車がまるで「走るスマートフォン」のようになり始めているのも原因だ。
 最近では、車に乗る前に家の中からスマートフォンで操作し、車のエアコンをつけるといった機能は当たり前となってしまった。
 車に乗ってスマートフォンと車載のスクリーンをつなげ、電子メールを確認することも、日常茶飯事となった。
 ベンツやフォルクスワーゲンなど欧州のメーカーは、今後発売される車にはポータブルコンピューターを設置できるようにして、車とコンピューターが一体となるモデルの設計に尽力している。
 こうした便利な機能は、ほかでもない電子部品の増加により、実現可能となった。

 しかし、これにより車の欠陥分析に費やさなければならない時間は長くなった。
 実際に国土海洋部(省に相当)は今回、現代・起亜自のリコールの原因を分析するのに3カ月はかかると予想している。

 メーカーも対策づくりに向け動き出している。
 BMWは、パワートレーン、シャーシ、車体などの各部分に分散していた電子部門の人材を「電子開発センター」に統合した。
 トヨタも「制御システム総括部」を新設することで、企画段階から自動車の電子化に対応できるよう取り組み始めている。





【迷走する韓国 】


_